FXで勝てるようになるために一番大切なこと、それが「損切り」です。でも、多くの人が損切りで悩んで、「損切り貧乏」になってしまいます。
損切り貧乏とは、損切りばかりして全然お金が増えない状態のこと。損切りが大事だとわかっていても、やり方を間違えてしまうと意味がありません。
この記事では、なぜ損切りがうまくいかないのか、どうすれば上手に損切りできるのかを、わかりやすく説明します。正しい損切りを覚えれば、あなたのトレードは絶対に良くなります。
なぜ損切りができないのか?損切り失敗の3つの理由

損切りができない人、損切りが下手な人には、共通する理由があります。まずは自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。
理由1:お金を失うのが嫌だから
人間は、お金をもらう嬉しさよりも、お金を失う悲しさの方を強く感じます。これは「損失回避バイアス」という心理的特性で当たり前の気持ちです。
損切りは「お金を失うこと」なので、やりたくないと思うのは普通です。「もう少し待てば戻るかも」「今損切りして、すぐ戻ったら嫌だ」という気持ちが、損切りを遅らせてしまいます。
理由2:「きっと戻る」という勝手な期待
「相場は必ず戻る」「このあたりで上がるはず」という、根拠のない期待も損切りを邪魔します。
特に初心者は、過去のチャートを見て「ここまで下がったことがない」と思いがちです。でも、相場に絶対はありません。過去のデータは参考程度にして、今の相場の動きで判断することが大切です。
理由3:損切りのルールがはっきりしていない
そもそも、いつ損切りするかのルールがない、または曖昧な場合、適切なタイミングで損切りするのは無理です。
「なんとなく危険を感じたら」「含み損が大きくなったら」という感情的な基準では、一貫した損切りはできません。事前にはっきりとした損切りルールを決めておくことが重要です。
損切り=負けじゃない!勝てる人の損切りの考え方

多くの人が損切りを「負け」や「失敗」だと思っていますが、これは間違いです。稼げる人は損切りを全然違った目で見ています。
損切りは「保険料」と考える
損切りは保険料のようなものです。車の保険に入るとき、事故が起きることを考えて保険料を払います。同じように、トレードでも予想と違う動きをすることを考えて「保険料」として損切りを設定するのです。
保険料を払ったからといって「損した」とは思わないはずです。むしろ、万が一の時のために安心を買えたと考えるでしょう。損切りも同じです。
損切りは「次のチャンスへの準備」
1回の損切りで失うお金よりも、損切りをしないで失うチャンスの方がずっと大きいです。
含み損を抱えたポジションにこだわっていると、新しいチャンスが来ても参加できません。損切りは「次のもっと良いチャンスへの準備」と考えることで、前向きに実行できるようになります。
勝率の高さより、トータルの利益を重視
稼げる人は、勝った回数の多さよりも、最終的にいくら利益が残ったかを重視します。損切りで勝率が下がることを恐れません。
例えば、10回中4回しか勝てなくても、勝つ時の利益が負ける時の損失の3倍あれば、最終的にはお金が増えます。大切なのは「何回勝ったか」ではなく「いくら利益が残ったか」です。
感情に流されない損切りルールの作り方
感情的な判断をなくすには、事前にはっきりとした損切りルールを決めることが必要です。効果的なルールの作り方を説明します。
ルール作りの基本
1. 具体的で数字がはっきりしていること
「大きく下がったら損切り」ではなく「20pips逆に行ったら損切り」という具体的な基準を作ります。
2. 取引する前に決めておくこと
ポジションを持つ前に損切りレベルを決めておきます。含み損が出てから考えるのでは、感情が邪魔をします。
3. 例外を作らないこと
「今回だけは特別」という例外を一度でも作ると、ルールが意味をなくします。どんな状況でも一貫してルールを守ることが重要です。
チャートの重要なポイントを基準にした損切り
サポート・レジスタンスライン
重要なサポートラインを下に抜けたら損切り、レジスタンスラインを上に抜けたら損切りといった、チャート上の重要なラインを基準にします。
移動平均線
例えば「20日移動平均線をはっきり下に抜けたら損切り」というルールです。移動平均線はトレンドの方向を示すため、これを基準にすることで理論的な損切りができます。
トレンドライン
引いたトレンドラインを破ったら損切りするルールです。トレンドラインはトレンドが続いているかを表すため、これを基準にすることでトレンドに逆らったポジションを早めに手仕舞いできます。
時間を基準にした損切り
チャートのポイントに加えて、時間的な要素も考えます。
「取引開始から4時間経っても予想した方向に動かなければ損切り」というルールです。これにより、方向がはっきりしない相場でポジションを持ち続けることを避けられます。
利益と損失のバランスで考える最適な損切り幅

利益と損失のバランス(リスクリワード比率)を理解することで、より戦略的な損切り設定ができます。
利益と損失のバランスの基本
例えば、利益目標が100pips、損切り幅が50pipsの場合、バランスは2:1となります。これは「1回の損失を2回の利益で取り戻せる」という意味です。
バランスが1:1未満(損切り幅の方が大きい)の場合、勝率が50%を大きく超えないと利益は残りません。一方、バランスが2:1以上あれば、勝率が35%程度でも利益を残せます。
最適なリスクリワード比率の決め方
1. 相場の状況に応じて調整
トレンドがはっきりしている時は大きな利益を狙えるため、リスクリワード比率を3:1や4:1に設定できます。一方、レンジ相場では利益幅が限られるため、リスクリワード比率は1.5:1程度が現実的です。
2. 自分の勝率を考える
過去のトレード記録から自分の平均勝率を計算し、それに基づいてリスクリワード比率を設定します。勝率が高い方法ならリスクリワード比率は低めでも大丈夫ですが、勝率が低い場合は高いリスクリワード比率が必要です。
3. 心理的な負担を考える
理論的には高いリスクリワード比率が有利ですが、損切り幅が狭すぎると頻繁に損切りされ、精神的な負担が大きくなります。自分が続けられる範囲で設定することが重要です。
実際の例
例:ユーロドルのトレンド取引
- 買った価格:1.1000
- 利益目標:1.1150(150pips)
- 損切り:1.0950(50pips)
- バランス:3:1
この設定では、勝率が25%を超えれば理論的に利益が残ります。トレンド取引の勝率が30〜40%程度であることを考えると、とても有利な設定といえます。
利益を守りながら損失を限定するトレーリングストップ
トレーリングストップは、相場が有利な方向に動いた時に損切りレベルを一緒に動かす方法です。利益を最大化しながらリスクを管理できる優れた注文方法です。
トレーリングストップの基本的な仕組み
買いポジションの場合、価格が上がるにつれて損切りレベルも上に調整していきます。価格が下がっても、損切りレベルは下げません。
例えば、1.1000でユーロドルを買い、最初の損切りを1.0950に設定したとします。価格が1.1050に上がったら、損切りを1.1000(元の価格)に移動。さらに1.1100に上がったら、損切りを1.1050に移動といった具合です。
効果的なトレーリング方法
1. 決まったpipsでのトレーリング
価格が有利な方向に一定pips動くたびに、損切りレベルを同じpips分移動させます。
例:20pipsトレーリング
- 価格が20pips上昇→損切りを20pips上に修正
- さらに20pips上昇→損切りをさらに20pips上に修正
2. 利益の割合でのトレーリング
利益の一定割合を維持するように損切りレベルを調整します。
例:50%トレーリング
- 100pipsの含み益→損切りを50pips有利な位置に設定
- 200pipsの含み益→損切りを100pips有利な位置に設定
3. チャートの重要なポイントでのトレーリング
移動平均線やトレンドライン、前回の高値・安値などの重要なポイントに損切りを設定します。
トレーリングストップの注意点
トレーリング幅の設定
トレーリング幅が狭すぎると、小さな戻りで損切りされてしまいます。通貨ペアの値動きの大きさや時間軸に応じて適切な幅を設定することが重要です。
相場環境の考慮
トレンドがはっきりしている時は積極的にトレーリングを行い、レンジ相場では控えめにするなど、相場環境に応じて使い分けが必要です。
2%ルール:資金管理と組み合わせた損切り戦略
資金管理と損切りを組み合わせることで、長期的に安定した運用ができます。その中でも「2%ルール」は多くのプロが使っている方法です。
2%ルールとは
2%ルールとは、1回のトレードで失う可能性のある資金を、全体の資金の2%以内に抑えるルールです。
例えば、資金が100万円ある場合、1回のトレードでの最大損失は2万円以内に抑えます。これにより、連続して負けても大きくお金が減ることを防げます。
2%ルールに基づく損切り設定
ステップ1:リスクのお金を決める
全体の資金×2%=1回のトレードでのリスクの資金
ステップ2:損切り幅を決める
チャート分析に基づいて適切な損切りポイントを決める
ステップ3:取引量を計算する
リスクの資金÷損切り幅=適切な取引量
実際の例
条件
- 全体の資金:100万円
- リスクの資金:2万円(2%)
- 通貨ペア:ドル円
- 買った価格:150.00円
- 損切り価格:149.50円(50pips)
計算
取引量=2万円÷50pips=4万通貨
この場合、4万通貨でポジションを持てば、損切りされても損失は2万円以内に収まります。
2%ルールの応用
1%ルール(より安全なやり方)
より安全な運用を望む場合は、リスクを1%に設定します。これにより、100回連続で負けても資金の63%が残る計算になり、とても安全な運用ができます。
段階的リスク増加
資金が増えた場合のみリスクの資金を増やし、資金が減ってもリスクの資金は据え置くルールです。これにより、利益を加速させながら損失を抑えられます。


損切り幅を狭めすぎる落とし穴
損切りの重要性を理解すると、今度は損切り幅を極端に狭くしてしまう「やりすぎ」の罠に陥りがちです。この問題について詳しく説明します。
狭すぎる損切りの問題点
1. 頻繁な損切りによるコスト負担
損切り幅が狭すぎると、普通の値動きでも頻繁に損切りされます。これにより、スプレッドなどのコストが積み重なり、結果的に資金を溶かしてしまいます。
2. 良いトレードのチャンス損失
適切な分析に基づくエントリーでも、損切り幅が狭すぎると、相場が予想通りに動く前に切られてしまいます。
3. 精神的な負担増加
頻繁な損切りは精神的な負担を大きくし、トレードに対する自信を失わせる原因となります。
適切な損切り幅の判断基準
通貨ペアの値動きの大きさを考える
各通貨ペアには独特の値動きの大きさがあります。例えば、ポンド円のような値動きが大きいペアでは、ドルスイスのような値動きが小さいペアよりも広い損切り幅が必要です。
時間足に応じた調整
- 1分足:10-20pips
- 5分足:20-30pips
- 1時間足:30-50pips
- 日足:50-100pips
これらは目安であり、相場環境や取引戦略に応じて調整が必要です。
ATR(平均的な値動き幅)の活用
ATRは過去一定期間の平均的な値動きの大きさを示すインジケーターです。ATRの1.5倍〜2倍程度を損切り幅の目安とすることで、通貨ペアの特性に応じた適切な設定ができます。
まとめ:損切りマスターになるために
損切りは単なるリスク管理の方法ではありません。利益を最大化し、長期的に安定した運用を実現するための重要な投資スキルです。
この記事で説明した内容を実践し、継続的な改善を行うことで、勝つための「損切りマスター」になれると思います。
重要なポイントのおさらい
- 損切りは保険料であり、次のチャンスへの準備
- 感情ではなく、事前に決めたルールに基づいて実行
- 利益と損失のバランスを意識した戦略的な設定
- 資金の管理と組み合わせた総合的なやり方
- 損切り幅の狭めすぎには注意
損切りスキルの向上は一朝一夕ではできません。でも、正しい方法で継続的に取り組めば、必ず結果は付いてきます。
あなたのFXトレードが成功することを心から願っています!