MA(移動平均線)のゴールデンクロスで買いエントリー、デッドクロスで売りエントリーというよくある手法ですが、本当に勝てるのでしょうか?
今回は、そんなMAのクロスでエントリーする手法の検証、開発をしてみたので、ぜひ最後までご覧ください。
MAクロス手法の概要
想定スプレッド
ある程度幅広い業者で使えるようスプレッド10銭(1pips)を想定します。
通貨ペアと時間足
取引する通貨ペアはドル円にしたいと思います。
想定スプレッド10銭なので、スキャルピングのような短期売買は不利です。
そこで、トレードする時間足は30分足にして、利益確定も損切りも大きめにしようと思います。
各市場時間に応じたマルチロジック
時間帯によってボラティリティや値動きのクセが違うので、日本時間、欧州時間、ニューヨーク時間に3分類し、それぞれに最適化したロジック3つを作成しようと思います。
3つのロジックと言っても、基本のエントリールールは↓で共通です。
- MAのゴールデンクロスで買いエントリー
- MAのデッドクロスで売りエントリー
その他の細かい条件やフィルターを、市場時間に応じて最適化します。
エグジット条件
エントリー条件は決まっていますが、エグジット条件がまだ決まっていません。
MAの反対クロスでエグジットというのが単純で良いかなと思ったのですが、これだとエグジット条件を待つのが大変です。
一方、TPとSLだったら設定すれ後は放置できるので、すごく楽ちんですね。
ということで、ドル円30分足だとどの程度のTPとSLにすればいいのかを検証してみました。この記事の検証期間は全て2010年1月初めから2022年12月末までです。
SL50 | SL100 | SL150 | SL200 | SL250 | SL300 | |
---|---|---|---|---|---|---|
TP50 | 48.9% 0.96 | 65.7% 0.95 | 74.4% 0.97 | 79.9% 0.99 | 83.4% 1.00 | 85.6% 0.99 |
TP100 | 33.3% 0.99 | 49.7% 0.98 | 60.4% 1.01 | 67.2% 1.02 | 71.4% 1.00 | 74.4% 0.97 |
TP150 | 24.7% 0.98 | 38.9% 0.95 | 49.9% 0.99 | 57.1% 0.99 | 61.6% 0.96 | 65.0% 0.92 |
TP200 | 19.3% 0.95 | 32.2% 0.94 | 42.7% 0.99 | 50.0% 0.99 | 54.8% 0.96 | 58.7% 0.94 |
TP250 | 16.1% 0.95 | 28.1% 0.97 | 38.4% 1.03 | 45.3% 1.03 | 50.1% 1.00 | 54.0% 0.97 |
TP300 | 13.9% 0.96 | 28.1% 0.97 | 38.4% 1.03 | 45.3% 1.03 | 50.1% 1.00 | 54.0% 0.97 |
検証結果をみると、TPが小さくSLが大きいほど勝率が高くなる傾向にあるようです。当たり前と言えば当たり前の話ですね。
PF(プロフィットファクター)の計算式は「総利益÷総損失」です。簡単に言えばPFが1より大きければ利益が出るトレードルールとなります。
個人的には、勝率は50%以上ほしいけど、TPやSLの一撃が大きすぎないのが扱いやすいなと思うので、「TP100、SL150」で設定しようと思います。
「TP100、SL150」だと勝率60.4%、PF1.01です。これをベースに他のエントリールールやフィルターを加えて、より精度の高いルールに仕上げていきたいと思います。
各市場時間のルール作成
各市場時間に応じたマルチロジックとして作成するので、日本時間、欧州時間、ニューヨーク時間の3つのエントリールールを開発します。
ただ、基本のトレードルールは↓になります。
- MAのゴールデンクロスで買いエントリー
- MAのデッドクロスで売りエントリー
- TP100 SL150
それでは、まず日本時間のエントリールールを作ります。
日本時間のエントリールール
トレード時間
今回は、日本時間を8時から15時とします。この時間帯にあったエントリールールを作成します。
ちなみに、この時間帯に基本のルールだけでトレードした場合、↓の成績です。
トレード回数3235回、勝率60.7%、PF1.03%
RCI52が小さすぎない
オシレーター系指標をつかってフィルターをかけてみようと思います。
RCIが小さいときに買いエントリーすれば勝率が上がるイメージがあるので、検証してみます。
RCIの期間は52で、RCI52が-90以下のときに買いエントリー、90以上のときに売りエントリーした場合どうなるのか検証してみます。
結果はイメージと逆でした。
トレード回数177回、勝率51.4%、PF0.71
ということは、RCI52が買いの場合―90より大きい、売りの場合90より小さいという条件を加えれば成績は上がるということになります。
トレード回数3058回、勝率61.2%、PF1.05
さらにルールを加えていきましょう。
前の足から終値が下がったものを除外
買いの場合の基本エントリールールはMAのゴールデンクロスです。
このゴールデンクロスですが、たまに前の足より終値が下がってるのにゴールデンクロスになることがあります。
これから買いエントリーするというのに、終値が下がって勢いのない場合はエントリーしたくありません。
そこで、買いエントリーの場合は、前の足の終値と比較して3pips以上下がっている場合は除外したいと思います。
検証した結果がこちらです。
トレード回数2662回、勝率61.7%、PF1.07
少し成績が向上したので、この調子でルールを加えていきます。
下ヒゲが長すぎない
下ヒゲが長いときに買いエントリーすれば、勝ちやすいイメージがあります。
そこで、買いエントリーの場合下ヒゲが長いとき、売りエントリーの場合上ヒゲが長いときにエントリーというルールを加えて検証してみます。
結果はこちらです。
トレード回数128回、勝率53.9%、PF0.77
またイメージと逆の結果になりました。
買いの場合下ヒゲの長さだけを指定しても、下のチャートみたいに十字線のようなものも含まれちゃうんですよね・・・↓
他にもヒゲが長いときって、ボラティリティが拡大して相場が荒れてることもあるので、そういうときはこのルールは勝ちにくいということなのかもしれません。
結果は最初のイメージと違いましたが、このルールは除外した方がよいということがわかりましたので、買いエントリーの場合下ヒゲが長すぎない、売りエントリーの場合上ヒゲが長すぎないというルールを加えてみます。
トレード回数2534回、勝率62.1%、PF1.09
他の条件も追加
他の条件も加えて追加してみます。
ADXとパラボリックなどを加え数値をいろいろ変えて検証してみると、なかなか良い設定が見つかりました。
詳しい条件は伏せますが、最終的にこのような成績になりました↓
トレード回数1161回、勝率64.8%、PF1.23
この成績は日本時間のロジックのみなので、欧州時間とニューヨーク時間のロジックも作っていきたいと思います。
欧州時間のロジックの成績
欧州時間の詳しいロジックは伏せますが、日本時間のロジックを作成した時と同じような感じで作成した結果、このような成績になりました↓
トレード回数810回、勝率64.2%、PF1.19
ニューヨーク時間のロジックの成績
ニューヨーク時間のロジックも作成しました。成績は↓です。
トレード回数995回、勝率64.5%、PF1.21
今回作成したMAクロス手法は、将来的にサインツールとして販売しようかなと思っているので、販売開始まで少しお待ちください。
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